「料理の腕を上げる」
ある日、職場の同僚が、フィッシングに行くと言うので連れて行ってもらった。
私は過去に冬の阿寒湖でワカサギ釣りをしたくらいしか経験がない釣りのど素人。釣り道具は貸してくれると言うのでワクワクしながらお供させてもらった。
スポンサーリンク
船は結構立派なクルーザーで、さすがオークランド。
「シティ オブ セイル」と言われるだけあって市民にはこういった船が身近な存在なのだろうな・・と感心しつつ、初めてのクルーザー体験は沖に出ると結構揺れた。時折胃液が上昇しそうな気持ちの悪さもありながらも、なんとか耐えて、リバースは回避し、いざフィッシング開始!
入れ食い状態というのか、簡単にたくさんの種類の魚が釣れて、これだけ釣れたら楽しい。釣った魚に結構大きい高級魚のタイも含まれていて、みんなで分けても結局一人10匹くらい持ち帰ることになった。
さて、ここからが問題であった。その場のノリで持ち帰ったはいいが、この魚をどうしたら良いのか?
目の前に横たわる高級魚。捨てるわけにはいかない。魚を捌いたことなんてないが、鱗を剥がして、内臓を取れば食えるだろうか・・。
ニュージーランド滞在中、私は自炊生活をしていた。
旅の楽しみって、その土地でしか見れない風景、観光施設、アクティビティ等とともに、地域の”食”、食べ物を楽しみにしている人も多いだろうが、私は食事にこだわりがないし、あまりチャレンジもしない。
新商品好きの人が透明なコーラを飲んでいても、私は飲みたいと思わない。普段、お茶かコーヒーかビールしか飲まないし、定食屋ならカツ丼かハンバーグ定食だし、びっくりドンキーならポテサラパケットディッシュだし。いつも決まっている。
利尻島に行ってもウニを食べない(苦手だから)し、タイに行っても、トムヤンクンは食べない(苦手だから)。海外の有名なご当地グルメであっても、癖のありそうなものはあまり食べない。
では何を食べるかっていうと、海外の日本食もかなり厳しい。以前にフィジーで食べた天ぷらは単なるフリットで、決して天ぷらではなかったし、ハワイで食べた焼きそばは、味のない固く焼いただけのカラッカラの麺で、食べられたものではない。だから海外の食事はイタリアンが多い。なぜイタリアンかと言うと、どの国に行っても間違いなく「それなりに美味しい」し、メニューを見れば、だいたい何かがわかるからだ。
とにかく私は、食べ物、飲み物に関して、全く冒険はしない超安定志向男である。
そんな私が滞在していた20年ほど前のニュージーランドでも、それなりに日本食レストランがあって、シェフが日本人の店なら、美味しい食事が食べられた。でもお値段が高め設定で、アルバイト生活の私にとって、おいそれと行くことができない場所でもあったから、外食するならフィッシュ&チップスとか、大型ショッピングセンターのフードコートとか、デニーズとか。毎日そんな感じだと当然飽きるので、そのうち自炊をするようになり、朝早く起きてお弁当を作り、帰って来てからも晩御飯を作って食べるようになった。レパートリーはそんなに多くはなかったが、スーパーには日本の調味料が普通に売っていたので、メニューは日本食。そのうち多少腕を上げていき、外国人が作る日本食よりも絶対自分の方が美味しいだろう、なんて調子にのる私。
毎回、味噌汁も作って「はぁ・・・、落ち着く」。味噌汁は日本人のエナジードリンクだとしみじみとなる。
やはり私は日本人。日本食が体に馴染む。
さて、そんな料理に目覚めた私、意を決してキッチンに並ぶ多量のタイを捌くことにした。
包丁を使って鱗を剥がす作業は結構大変で、鱗が飛び散るので、玄関の外でその作業を行う。一通り鱗を取ったら、次にお腹に包丁を突き刺し、内臓を取り払う。適当に2から3枚に身を切ってみて、これまた適当に塩をふって焼いて食べてみたら、これが結構美味かった。ついでにご飯にタイを入れて鍋で炊いてみたら、これまた結構美味かった。
やればできるものだ。味付けは塩とか醤油とか簡単なものであったが、新鮮な魚はそれだけで美味しいのだ。
次は何を作ってやろうか?どんどん料理に目覚める私であったが反省点も一つ。
玄関で鱗を剥がす作業をしたので、玄関の生臭い悪臭が数日続き、シェアメイトに怒られたのであった。
<ニュージーランド旅行記>
NZ1「記憶は少しずつ薄れていくけど、思い出はいつまで経っても色褪せない」
NZ2 「そうだ、家を探そう!」
NZ3 「お金が尽きた、海を見て黄昏る」
NZ4 「転んでもただでは起きない男」
NZ5 「異文化交流に疲れる」
NZ6 「料理の腕を上げる」
NZ7 「観光地を徘徊する」
スポンサーリンク
One Reply to “ニュージーランドにて。vol.6”